TNYCCC#17 野々花染工房有限会社 みちのく蔓工芸所さんの取組
【TNYCCC】
※“TNYCCC”とは、“TNY挑戦と創造通信”の略であり、
TNY=TEAM NEXT YONEZAWA、挑戦と創造=challenge&creation
通信=communicationを表します。
これからTNYの皆様の素敵な取り組みをご紹介させていただきます。
今回は「野々花染工房有限会社 みちのく蔓工芸所」さんのご紹介です!
みちのく蔓工芸所さんは、織屋であった野々花染工房・5代目社長の時に新設された、山ぶどうの蔓を専門とした部門です。現在は6代目に引き継がれ、織部門との二本柱で野々花染工房を営まれています。
日本古来の自生植物である山ぶどうは、実が生るまでに6年以上、蔓から皮が採取できるようになるにはそれ以上の年月が必要になります。
山ぶどうの蔓は大変貴重で、1年のうち6月下旬~7月上旬にかけての約2週間、この短い梅雨の期間にしか採取することができません。本来固い蔓が梅雨の水気で柔らかくなることで採取できるようになりますが、山ぶどうは山の奥深くで自生していることが多い上、水気を吸った蔓はとても重く運ぶだけでもかなりの重労働になります。苦労して採取した蔓は乾いてからでないと加工できないため、更に1年の乾燥期間を設ける必要があります。
採取できそうな蔓を探しに行くのも工芸所の方々自身でしており、前年の秋頃から山に下見に行きます。長い準備期間と乾燥期間を経て、ようやく山ぶどうの蔓製品は製作に入ることができます。
乾燥した蔓の皮を切って編み込んでいくのは全て職人さんの手作業で、出来上がった蔓製品は滑らかな質感と光沢を持ちます。そして使い込んでいくうちに更に光沢が増し、色も黒く艶やかな質感へと変わっていきます。山ぶどうの蔓は人の手で撫でてあげることでよりしなやかで丈夫になっていくため、親から子へ孫へと受け継いでいけるような代物になります。その丈夫さは「100年以上使える」と言われるほどです。
主な商品は編みカゴや編み財布で、下駄やキーホルダー、ネックレスなども製作しています。自社製品の手直しも受け付けており、職人さんの手で丁寧に直されることで大切な品をより長く使っていただくことができます。
なお、みちのく蔓工芸所ホームページでも販売を行っております。
全国の百貨店や物産展で開催されるイベントや展示会に参加することで、職人さんの技術が詰め込まれた伝統工芸の魅力を多くの人に知ってもらえるよう取り組んでいます。
2025年4月1日㈫~6月4日㈬まで、道の駅米沢内の有機EL照明を使用したショーケースでみちのく蔓工芸所さんの山ぶどう蔓カゴなどが展示される予定です。ぜひこの機会に、その美しい質感と製品に込められた職人さんの巧みな技術をご覧ください。
野々花染工房有限会社 みちのく蔓工芸所さん、ありがとうございました!