二年熟成木桶仕込み丸大豆無添加醤油「壱」
申請者情報
:
企業
:
今野味噌醤油醸造店
:
米沢市大町3丁目1-12
:
今野 壱啓
:
今野 良輔
:
今野 良輔
:
0238-23-1354
:
konno-miso.shoyu@outlook.jp
:
・自社ホームページ:http://mutenkamiso.com/index.html
・楽天市場:https://www.rakuten.co.jp/mutenkamiso/
・Instagramアカウント(公式):konnomiso-yonezawa
・Instagramアカウント(五代目):konnpi0426
・Facebook(公式):今野味噌醤油醸造店
・Facebook(五代目):今野 良輔
・楽天市場:https://www.rakuten.co.jp/mutenkamiso/
・Instagramアカウント(公式):konnomiso-yonezawa
・Instagramアカウント(五代目):konnpi0426
・Facebook(公式):今野味噌醤油醸造店
・Facebook(五代目):今野 良輔
AWARD申請内容
:認定!
:産品
受賞を目指す産品やサービスの名称
二年熟成木桶仕込み丸大豆無添加醤油「壱」
はじめて着手した丸大豆の仕込み風景
申請する商品やサービス等の概要
丸大豆醤油「壱」は、丸大豆で仕込んだ本醸造無添加醤油です。◯米沢で唯一の木桶仕込み醤油
当店は昔ながらの製法で原料から仕込みをおこない、木桶で発酵熟成させて醤油を造っています。米沢市でもこのように醤油を自社で製造している蔵元は当店のみとなりました。
全国でも100軒ほどしかないと言われており、木桶仕込みの醤油は全体の流通量の1%以下となっています。醤油の仕込みには莫大な時間と労力を要すること、設備投資が多大にかかることなどから仕込みを辞めてしまう蔵元が多くなっています。
当店は今後もこの製法にこだわり、伝統や技術を次の世代へと繋いでいきます。
◯創業123年、今野味噌醤油醸造店が初めて挑戦する丸大豆醤油
当店は醤油の仕込みをする際、脱脂加工大豆という脱脂された粉砕大豆を用いて仕込みをおこなってきました。この加工大豆は、菌の発育や諸味(もろみ)内で発酵しやすく、仕込みでも一般的によく用いられる原料です。
この加工大豆が製造されはじめた1940年代以前は、丸大豆を使用して醤油を造るしかありませんでした。丸大豆で仕込むと加工大豆の2倍(最低2年)の発行熟成期間を要します。
昔の人たちが仕込んでいた丸大豆醤油を自分も造ってみたいという気持ちから初めて丸大豆での仕込みに挑戦し、出来上がったのがこの「壱」です。
◯安全安心の無添加醤油
当店は味噌と醤油を主として製造しています。味噌はすべて無添加です。醤油は米沢ラーメンを支える“かえし”などに使用しやすいよう、植物性の旨味や甘味などの成分を加え調合した混合と呼ばれる醤油です。
後述しますが、味噌を購入するお客様から無添加の醤油はないのかとのお声も多くありました。実家を継いだ時から味噌とともに無添加の醤油を造りたいという気持ちが強くあり、今回の「壱」は無添加にしました。
挑戦と創造のストーリー
今回、新たに丸大豆の無添加醤油「壱」の製造に挑戦しました。弊社は、祖父(4代目)から醤油の製造をはじめました。その年の味噌の出来があまり良くなく、急遽醤油の製造を学び、仕込みをはじめたことがきっかけだと聞いています。
醤油の仕込みを父(5代目)が受け継ぎ、今の製造方法を確立し、私へと受け継がれてきました。
その当時から脱脂加工大豆使用し、現在まで仕込みを行っています。
今回の新商品「壱」は丸大豆のまま仕込みを行い2年間熟成させる無添加醤油ですが、
製造するにあたり、分からないことが山積みでした。丸大豆醤油を製造する蔵元を訪ねて話を伺ったり、大学の教授に話を聞いたりしながら父と2人で協力してようやく完成したのがこの醤油です。
最初の仕込みで室入れした麴たちの元気がなく、温度が上がってこなかった頃は徹夜で1時間おきに麹を見にいき手入れしたことを今でも覚えています。
朝方になり、麹に元気が出てきたときは本当に感動しました。
この醤油の名前の由来ですが、父(壱啓)と協力して今野醸造ではじめてとなる丸大豆醤油をつくったこと、そして先代から受け継いできた技術を込めて今までで壱番良い醤油をつくったという想いから「壱」と名付けました。
この「壱」はこれからもブラッシュアップをしていき、その年の最高の醤油に対して「壱」と名付けていくプロジェクトとしていく予定です。
具体的には大豆も小麦もすべて米沢産の原料を使用した「壱」を今後製造予定です。
商品やサービス等の品質の高める工夫
先述した通り、今まで木桶仕込みで代々つくってきた醤油は、アミノ酸液や甘味料、旨味成分などの添加物も加えた醤油でした。少なからず無添加食品を求めているお客様もいらっしゃるので、新たにニッチな客層をターゲットにしています。当然防腐剤等も加えないので、火入れや充填に十分注意して商品化しています。
添加物を加えた醤油とは違い、2年間の発酵熟成期間でできた味だけで醤油になるため、そのままの味で勝負しなければならない点が苦労した部分でもあります。
もろみの撹拌のたびに舌で味を確認し、どのような発酵をしているか都度確認しながら手入れしてきました。
また醤油は空気に触れ酸化しやすく褐変しやすいので、若干空気を通してしまうプラスチックの空容器ではなく、空気を通さずフレッシュさを保つ工夫が必要です。
またお客様から要望で少量の商品をつくってほしいとの声がありましたので、使い切れるように小瓶275mlで販売します。
商品やサービス等の独自性・価値
今野味噌醤油醸造店は私で六代目となりますが、自分のルーツを遡って祖先を調べていた際、初代から3代目までは初代「今野 参三郎(さんざぶろう)」の“参三郎”を襲名してきたことが判明しました。今回の壱に関して、新たに最上級シリーズ「参三郎ブランド」を設けました。
また壱は1つの木桶でのみ仕込んでいる醤油なので、製造第〇号と個々のラベルにシリアルナンバーを設け、限定生産販売で付加価値をつけています。
米沢でも醤油を造る蔵元がどんどん廃業していきました。当店も食の多様化や簡便化などの影響から売り上げが低迷し、私が実家を継ぐか否か何度も家族会議をしたこともありましたが、地元に愛される蔵元として廃業は絶対にしたくないという気持ちを両親に告げ、家業を継ぐことを決意しました。
そしてその意思も込めて造ったのが、今回の「壱」になります。
商品やサービス等に対する評価
今回の丸大豆醤油「壱」を仕込むことに決めた日から、定期的にホームページやSNS等で発信しておりました。それを見て当店にご来店くださり、いつ商品化されるのか聞きに来てくださるお客様が延べ30名ほどいらっしゃいました。なかには県外の方もいらっしゃり、予約をされる方までいらっしゃいます。
「山形だけれど、無添加醤油が欲しくて宮城県の蔵元の醤油を使っていたから地元の蔵元でつくってくれるのはとても嬉しい」との声もあり、無添加への関心の高さを痛感しました。
二年もの間、毎日諸味と向き合い続け、大事に育ててきた愛娘のような醤油です。
旨み成分などの数値結果なども高く、自身を持って世に出せる力作だと私自身感じています。
情報発信の手段
上記にも書かせていただきましたが、豆を煮て小麦と合わせるところから、麹の発育の変化、諸味の管理等の様子を随時SNS(Instagram)にて発信しております。商品の説明というよりも醤油がどのような過程でつくられているのか、興味をもってもらえるように心がけて発信しています。
作り手がどのような思いでこの醤油をつくっているのかを伝えられるようにも注意しています。
またホームページでも新商品の発売情報などを掲載し、発信しています。
特に「壱」のような高級志向の商品に関しては、造り手の想いやその商品ができるまでのストーリーなど、ラベルに載せきれない情報をいかにお客さんに知ってもらえるかがポイントだと思うので、販売する際に一緒に見せるためのPOPを作成しています。
物産館等でのイベント時にも私自身赴いて対人販売をしたり、味噌づくり教室などを通して地域の方との接点を持ち、情報共有ができるように心がけています
評価を活かす仕組みや体制
普段、醤油をお使いいただいているお客様や、飲食店の方から醤油に関して意見をいただくことがありますが、その意見を大事にしています。壱に関しても、容量の小さいものが欲しいという意見もあり、275mlという小瓶にて販売することにしました。
また「ひととのつながり」は大切にしています。「壱」を製造するにあたり、ひととのつながりに助けられたことが多々ありました。
欲しい原料であったり知見を得る際に、今までに出会ってきたひとの力を借りたり相談することが非常に多いと感じています。
これからも色んなところに赴き、ひととのつながりを大切にすることを忘れずに続けていきたいです。
「壱」に関しても、この度テストマーケティングとして試験的に販売していくので、今後の「壱」をブラッシュアップするためにもひととのつながりや声をお聞きし、商品の品質向上に活かしたいと思います。
今後の計画
当店は創業して120年が経ちましたが、ずっと家族経営でやってきました。私も会社を大きくしたいという想いは全くありません。
自分たちでつくることのできる生産量をもって、当店から買いたいと言ってくださるお客様へ届けていくことが今後の目標であり、私の思う方針です。
今後の「壱」に関しては米沢産の原料だけでつくっていきたいと思っています。
米沢の地で大豆の製造は行われておりますが、小麦の製造は「山形ノーカーズ」の2名のみが、今年から試験的に作り始めたとの情報を聞きました。
私たちが生まれ育ったこの米沢という地で、地元の農家さんとも協力し地産の醤油をつくることで醤油自体の付加価値にもなると思いますし、少しでも農家さんの力になれれば嬉しく思います。
小麦の確保や熟成期間などもあり、商品化するまでには最低でも4年以上はかかる長期間での計画となりますが、1つひとつ問題を解決していきながら商品化していきます。
米沢への貢献
「壱」もまだまだこれからの駆け出し商品ですが、試行錯誤を繰り返していきながら“米沢品質”という言葉に恥じないモノにしたいと思っています。そして地元の大豆農家、小麦農家さんと連携してより付加価値を高めることができれば、少しだとしても米沢を活性化することができると感じています。
今野味噌醤油醸造店は、代々、挑戦を続けてきました。
1代目で会社を立ち上げ、2代目は味噌の製造をはじめ、3代目が若くして急死後、4代目が醤油の製造を開始し、5代目で味噌づくりのワークショップをはじめ、6代目の私が丸大豆醤油の製造をはじめました。
当店は、米沢品質アワードが誕生するずっと前から、「挑戦と創造」を体現してきた蔵元です。6代目である私の代の挑戦を象徴する「壱」とともに、米沢品質を象徴するような存在になるべく、これからも挑戦をし続けます!
現在取り組んでいるSDGsの取り組み<参考>
木桶仕込みの諸味を圧搾したあとには、絞りカスが出てきます。旨みを出し切ったカスなので、特に栄養もありませんので今までは廃棄しておりました。
SDGsの取り組みとして食品ロスを減らす観点から、このカスをなんとか利用できないかと考え、牛を飼育している地元の牧畜家の方に無償でお渡しし、餌に若干このカスを加えて食べてもらっています。若干の塩味があるため、牛が好んで食べてくれるとのことです。
そのほか醤油は基本的に瓶にて配達を行い、空瓶を回収し洗い再利用して容器の廃棄をないようにしています。
事業継承をきっかけに新しい商品開発へと着手した取組はまさに挑戦と創造を体現しているものだと思います。自社商品に最大限の誇りと自信を持つことこそがブランド化の第一歩だと思いますので、これからも頑張ってください!
大手メーカーから大量生産される商品に押され、零細企業は年々廃業を余儀なくされる中、家業を引き継ぐと決心された決意に頭が下がります。
日本料理に欠かせない醤油。その醤油を本来の製造方法である丸大豆を利用し、無添加で木樽で2年間発酵させて作る。作り手の商品に込めた思いとお客様の願いに応えようとした挑戦と創造の結果生まれた商品だと思います。
今後、地元農家とも連携し米沢産大豆での醤油作りも計画しているようで、米沢品質以上の米沢品質、と呼べる醤油が出来上がるのを期待しています。
地元産の大豆と小麦を使うことで、『米沢のテロワール』を示すブランドを作ることになる。これは強力なマーケティング・メッセージであり、米沢ブランド全体のイメージクオリティを高めることにもなる。 また、先祖伝来の製法で醤油を造るということは、米沢の伝統的な味を守り続けるということでもあります。
原点回帰、先祖返りという品質高い印象になります。SNSや客さんの口コミによって、値段が少々高くってでも愛用者が少しづつ増えるでしょう。