子どもの眼の輝きを取り戻す野外保育
申請者情報
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団体
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NPO法人青空保育たけの子
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米沢市上新田1166
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辺見 妙子
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辺見 妙子
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辺見 妙子
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070-1143-1166
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aozoratakenoko@gmail.com
AWARD申請内容
:認定!
:サービス
受賞を目指す産品やサービスの名称
子どもの眼の輝きを取り戻す野外保育
「たけの子祭り」
申請する商品やサービス等の概要
青空保育たけの子は「野外保育」を原点に子どもから大人まで育ちあえる空間を提供しています。子どもの時にしかできない「あぶない、汚い、ばかばかしい(AKB)」ことを自然の中で思いっきりできる野外保育を中心に、古来中国に端を発する自然哲学〈五行説〉から取った五行〈木・火・土・金・水という万物の元素を作るもの〉の遊びを体験できる環境作りと活動を行っています。モノが豊かになった日本。でも、子どもたちの眼は輝いていると言えるでしょうか。若者が将来に夢を持てなくなったと言われ、先進国の中でも青少年の自殺率がロシアについで第2位(2016年現在)となっており、それを裏付けしているようです。
教育研究家・東京大学名誉教授大田堯先生は「今の子どもは失業中」であるといいます。子どもの仕事は「遊ぶこと」だからです。
国立青少年教育振興機構の調査によれば、体験を通して得られる資質・能力(体験の力)は、「自尊感情」「意欲・関心」「共生感」「職業意識」「規範意識」「人間関係能力」「文化的作法・教養」の7つであるとしています。そして、体験の差は学力にも現れてくるとのことです。
札幌医科大学医学部脳神経科講師 鵜飼渉先生はその講演の中で、「自然(活動)が心の病の発症を未然に防ぎ、強くて柔軟な心を育む」と言っています。
挑戦と創造のストーリー
子どもが夢を持ち実現できる社会をつくるため、青空保育たけの子は、2009年4月、子どもたちが自然の中で豊かに遊び活動し、人として大切な五感を磨き生きる力を育みその子らしく成長していくことを見守り、その子どもたちを取り巻く大人も子どもと共に成長することを目的として福島県福島市に創立しました。しかし、2011年3月の原発事故は福島での野外活動を困難にしました。そこでわたし達は、2011年10月に米沢市に活動拠点を移し、福島市から毎日子ども達と一緒に通い、原発事故を起こした大人の責任として福島市からの無料送迎を続けながら野外保育を継続してきました。現在は野外保育に共感した地元のご家庭のお子さんが少しずつ増えてきています。その間わたし達は、福島でも行っていた自然体験教室、食農体験を継続させ、2014年からは「よねざわ冒険遊び場あそべんちゃ~ランド」を開設&無料開放。2016年からは復興庁による心の復興事業として「空と土の交流広場」を経年開催。2018年より近隣に放射能を避けて安価で泊まれる場所があるといいという要望に応え、クラウドファンディングを活用し「民泊あおぞら館」を開業。2019年には、子どもの遊びを見守りながら、身体にいい食事もとれる場所「たけの子Cafe」を開業しました。認可外保育施設の強みを活かし、入園希望者に柔軟に対応し、コロナ禍で帰国困難になった児童、里帰り出産、出張のための一時保育児童も受けいれており、NPOならではのニッチな必要に日々応えています。商品やサービス等の品質の高める工夫
子どもを取り巻く環境をよくするには、周囲の大人をどうやって巻込んでいくのかが課題だと考えます。月一度の親の会「竹輪クラブ」(「たけの子の輪」から命名)を通して、傾聴し合い、アドラーやロジャースの心理学から共に学び、子どもも大人も共に成長するということを実践しています。竹輪クラブで出た親のつぶやきを、理事会・スタッフ会議で討議し野外保育の活動計画を練って実行しています。一般社団法人日本野外生活推進協会が認定する「森のムッレリーダー」資格をスタッフが取得し、毎月森のムッレ教室を園児向けと一般向けにそれぞれ開催しています。代表の辺見はこの資格の講師でもあります。ムッレとはスウェーデン語で「土壌」の意味で、生命を育む土を表す架空の妖精です。その架空の妖精ムッレから自然環境について学ぶプログラムが森のムッレ教室です。
辺見は2019年よりNPO経営者としてタケダが主催する経営者ゼミに参加し、2021年7月「コミュニティワークは組織基盤を強化するのか」という発表を行いました。
商品やサービス等の独自性・価値
広大な敷地内(500㎡)には、五行(木・火・土・金・水)の遊びを実践できる環境が整っています。木→シンボリックなスタッフ手作りのツリーハウス、火→ファイヤースペース・ピザ窯・薪ストーブ、土→2段砂場・畑仕事・田植え・稲刈り、金→木工台・ノコギリ・金づち、水→地下水の野外水道です。敷地内で春は山野草、梅・杏の実が採れ、秋には栗、柿と自然の恵みを頂くことができます。
建物は築100年は経とうとしている古民家の一角を活用しています。
昨年10月より給食を開始し、メニューは雑穀と野菜のビーガンにしています。コロナ禍の中検温を続けたところ、お菓子や市販の惣菜が好きな子は低体温気味であることがわかったからです。この給食を開始したところ、体温だけでなく、便も変化しました。
今年は以前より行っていた味噌作りの他に、新たに日向醤油作りにも挑戦し、醤油作りを通したコミュニティ作りもしています。
商品やサービス等に対する評価
以前からマスコミに注目されてきた当園の野外保育ですが、2021年は5月に放映されたTUYさんのローカル魂「やまがた桜物語3」、6月に放映されたNHK山形やままる「地域に支えらる野外保育」と連続して取り上げていただきました。特にNHK山形さんには「コロナ禍の中野外保育が注目を集めています」と紹介していただきました。前年度関わりをもった保護者の方からは「私の周りで、誰に話しても羨ましがられるこの環境に巡り会えたご縁に感謝しかありません。」「たけの子の良さは、いろいろなものに対するチャレンジのハードルを下げてくれること、親も気軽にその空間に参加できること、と感じています。」「住民票が県外のよそ者を入れてくれる保育施設はたけの子ただ一つ。そんな理由で一時保育でお邪魔したけの子に出会い、野外保育も素晴らしいと思ったのもあるけど、自由に、子供のやりたいことを尊重してくれるところが一番好きになって米沢に残る事にしました。」等の感想をいただいています。
情報発信の手段
・ホームページ(https://www.takenoko-aozora.org/)がGoogle検索エンジンででヒットしやすいようにトップページのタイトルを「森のようちえん 冒険遊び場 自然体験 森のムッレ 保養|Npo法人青空保育たけの子」にしています。・活動の様子やトピックはインスタグラム(https://www.instagram.com/taakoaozora/?hl=ja)に掲載することで、そこからFBページ(https://www.facebook.com/aozoratakenoko)とTwitter(https://twitter.com/aozoratakenoko)にも自動でリンクするようにしています。
・noteアプリ(https://note.com/search?q=%E9%9D%92%E7%A9%BA%E4%BF%9D%E8%82%B2%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%AE%E5%AD%90&context=note&mode=search)も有効に活用しています。
・YouTube(https://xn--youtube-pt4flgyb8h.com/channel/UCud_olOXmRYFYGpCOmtMd8g/videos)には、活動の写真から動画を作成し発信しています。
・「よねぽた」アプリに登録させていただいています。
・会員には毎月「たけの子便り」を送付し、支援者・寄付者の皆様にも定期的に郵送でお便りを送っています。
・一般募集の自然体験や食農体験などのイベントの際は米沢市教育委員会、福島市教育委員会から名義後援をいただき、各市内の小学校へチラシを配布しています。
・昨年度からイオン米沢店さんのしあわせの黄色いレシート応援団体に登録させていただくことができました。今はコロナ禍でできていませんが、毎月11日、イオン米沢店さんにて、黄色いレシートへのご協力を呼びかけさせていただいています。
評価を活かす仕組みや体制
6人の理事のメンバーは、地域的には福島市から3名、米沢市から2名、山形市から1名と活動関連地域から広く選出しています。男性と女性の比率は3:3です。それぞれの職業は、他のNPO法人代表(福島市)、営農組合代表(米沢市)、大学保育科の准教授(山形市)、塾経営者(米沢市)と多岐に渡っています。これにより、経営面が強化されただけでなく、子どもを取り巻く環境を地域活性化と教育などの面から話し合っていくことができる体制があります。スタッフは現在9名で、内保育士4名、森のムッレリーダー資格者5名です。地域から定期的に読み聞かせや和菓子作りのボランティアも来てくださいます。今年度より、NPO法人ドットジェイピー様よりインターンシップ生を派遣していただくことにもなりました。
今後の計画
関係人口を増やし、年齢・地域を超えた新しいコミュニティをつくることが最終目標です。『崖の上のポニョ』の舞台になったところのように、保育園のとなりに老人ホームが隣接しているような、大人も子どもも、そして様々な違った立場の人たちが一緒に集い、笑顔になれる場所をつくりたいのです。米沢には「三者」という言葉があります。「よそ者」「若者」「バカ者」のことで、地域をつくるのはこの三者なのだそうです。わたしたちはこの「三者精神」で新しいコミュニティをつくり、子どもたちが夢を持ち、実現できる社会を共に作っていきます。今年の春から月1で新たに給食で培ったノウハウを基に、「子どもが作って食べるこども食堂」を開催しています。子どもが料理を作ることで、生きる力を取り戻し、メニューをビーガンにすることで、食糧危機にも備えた人材を育成していくことができると考えています。
秋には地元の学生を実行委員としたキッズタウン「おいでよおぼごの街」を計画しており、多数の企業が協賛してくれています。子どもが作る子どもの街を通して、将来のリーダーの育成につなげていきます。さらに、今後はこの野外保育をメソッドとして体系化し、東北に広めていく計画です。
原発事故で自由に過ごせなくなった子どもたちのためにという取り組みは素晴らしいと思います。また、徐々に認知が拡がっていることも素晴らしいと思います!
米沢じゃなければ学べないことについても記載があると更に評価が高まると思います。
ユニークな取り組みを行なっていても確かな知識とデータに裏付けされているからこそ保護者の方も安心して任せられるのだなと感じました。こどもたちにとっても数多くの貴重な経験を得られると思います。
上から目線の親や過保護な親が跋扈する都会とは対極にある、野外・野生保育。米沢の豊かな自然と運営者の強い信念あっての試みだと思う。メディアでも取り上げられ注目されてきている。